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【矯正治療】スマホ首・姿勢と噛み合わせの意外な関係

医院ブログ 2025/12/08
名古屋西矯正歯科クリニック 平澤建太朗

スマホを長時間見ていると首や肩がこる」という話はよく知られていますが、実はそれだけではありません。
近年、歯科・矯正の現場では “姿勢の悪さが噛み合わせを乱す” というケースが増えています。

特にスマートフォンを見るときの前傾姿勢、いわゆる “スマホ首(ストレートネック)” は、顎の位置や噛み合わせを変化させる大きな要因と考えられています。

矯正治療中の患者さんの中にも、
・首や姿勢の影響で噛み合わせが安定しない
・リテーナーが合いにくくなる
・前歯が当たりやすくなる
…といった悩みを抱える方が少なくありません。

本記事では、スマホ首と噛み合わせの関係、なぜ姿勢が歯並びに影響するのか、そして患者さんが実践できる改善策をやさしく解説します。


■ 1. スマホ首(ストレートネック)とは?

本来、首はゆるやかなカーブを描き、頭の重さを分散して支えています。
しかし、スマートフォン操作中のように首を前に出した姿勢を長時間続けると、このカーブが失われ、頭を前に突き出す“ストレートネック” になります。

◆ スマホ首で何が起きる?

  • 頭が前に出た状態で固定される
  • 首まわりの筋肉が常に緊張
  • 肩こり・頭痛・呼吸浅化
  • 下顎の位置が後ろに押し込まれる

ここで大切なのが 「下顎の位置がズレる」 という点です。
これが噛み合わせに大きな影響を与えます。


■ 2. 姿勢が噛み合わせに影響を与える理由

◆ ① 頭位が変わると下顎の位置が変わる

頭が前に出ると、下顎が後方に押し込まれやすくなります。

下顎が後ろに下がると…

  • 奥歯が強く当たる
  • 前歯が噛みにくくなる
  • 顎関節に負担がかかる
  • 片側だけ噛みやすくなる

これらの変化が噛み合わせを不安定にし、矯正治療中の患者さんでは特に影響が大きくなります。

◆ ② 首の筋肉と顎の筋肉はセットで動く

首〜肩〜顎は、筋肉・靭帯で密接に連動しています。
例えば

  • 胸鎖乳突筋
  • 側頭筋
  • 咬筋
    これらは共同で働くため、首の緊張がそのまま“噛む筋肉の緊張”へつながります。

筋肉のアンバランスが起きると、
「本来の場所で噛めない」=噛み合わせがズレる
という現象が起きやすくなります。

◆ ③ 舌の位置が下がる

スマホ姿勢では舌が下に落ちやすく、口呼吸になりやすいことも分かっています。
舌が下がると、

  • 上顎が狭くなる
  • 下顎が後退しやすくなる
  • 噛み合わせが深くなる
    などの変化が生じます。

矯正治療中で上顎・下顎を広げたり動かしている場合には、この舌の位置は特に重要です。


■ 3. 矯正治療中こそ姿勢が重要な理由

◆ ① 歯は「弱い力」で動くため影響されやすい

歯列矯正は、弱く持続的な力で歯を動かす治療です。
そのため、

  • スマホ首で顎がズレた状態
  • 片側だけで噛む癖
  • 首の緊張による食いしばり
    相対的に小さな力でも、歯の動きに影響を与えやすくなります。

◆ ② リテーナーが合わなくなる原因になる

姿勢が悪いと噛み合わせが日内変動しやすく、

  • 朝と夜で噛み合わせが違う
  • リテーナーがきつい/ゆるい
    という現象が起きやすくなります。

◆ ③ 顎関節症を引き起こしやすい

下顎が後退した姿勢は顎関節に負荷をかけるため、

  • 関節音
  • 口の開けにくさ
  • 食事の疲れ
    につながります。

矯正治療中は顎関節とのバランスが非常に重要なため、姿勢は無視できない要素です。


■ 4. スマホ首が噛み合わせに与える具体的な影響

  1. 前歯が当たりやすくなる(オープンバイト気味)
  2. 奥歯ばかりが強く当たる(ディープバイト)
  3. クロスバイト(交叉咬合)が出現・悪化
  4. 片側だけ噛みやすくなる → 顔の左右差悪化
  5. 顎の運動が制限されるため顎関節症を誘発
  6. 矯正の動きが予定通り進まない

特に最近の患者さんはスマホ使用時間が長いため、10年前とは比較にならないほど姿勢由来の噛み合わせトラブルが増えています


■ 5. 今日からできる「姿勢 × 噛み合わせ」改善策

◆ 1. スマホを“顔の高さ”まで上げる

最も簡単で効果が大きい方法です。

◆ 2. 首を後ろに引いて顎を軽く引く

“耳・肩・骨盤が一直線”の意識。
この姿勢で噛むと顎の位置が安定します。

◆ 3. 舌を上あごにつける(舌の正しい位置:スポット)

上顎の中央部に舌先を軽くつけることで、姿勢と顎位が安定します。

◆ 4. 長時間の前傾姿勢を避ける

  • 30〜60分に一度姿勢を戻す
  • 立ってスマホを見る時間をつくる

◆ 5. 枕の高さ・睡眠姿勢を見直す

高すぎる枕は下顎後退を起こし、低すぎると首を反らせます。

◆ 6. 肩甲骨ストレッチで胸を開く

姿勢は「背中」から改善すると安定しやすいです。


■ 6. 姿勢を整えることは矯正の“仕上がり”にも影響する

矯正治療では、歯並びだけでなく
「正しい顎の位置で噛めること」
が最終的なゴールです。

スマホ首・前傾姿勢は、そのゴールから遠ざかる要因となります。

逆に、姿勢が整うと…

  • 噛み合わせが安定しやすい
  • 顎の位置が正しくなる
  • リテーナーが合いやすい
  • 顔の印象がスッキリする

といった“治療効果を高めるメリット”があります。

矯正の成功は、装置やテクニックだけでなく、
患者さん自身の姿勢習慣にも左右される時代になってきています。


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参考文献

Okeson JP. Management of Temporomandibular Disorders.
・Kapandji IA. Physiology of the Joints.
・国内姿勢学・咬合学関連文献(顎位と頭位の関係)
・日本矯正歯科学会「顎と姿勢の関連性研究」

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