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歯根吸収はどれくらい起こる?患者が知るべきリスクと予防策
矯正治療を検討している患者さんから「歯根吸収が怖いのですが、本当に起こるのですか?」という質問をよくいただきます。歯根吸収とは、歯の根の先端がわずかに短くなる現象で、多くの場合は自覚症状がなく、レントゲン検査で初めて見つかります。
インターネットでは不安を煽るような情報も多く、「矯正=歯が抜ける」という極端なイメージを持たれがちですが、実際には医学的に管理されている矯正治療では、必要以上の歯根吸収が起きるリスクは非常に低く、正しい知識を持つことで過度な不安を感じる必要はありません。
本記事では、歯根吸収がどれくらいの頻度で起こるのか、なぜ起きるのか、どんな人が起こりやすいのか、そして防ぐために患者側ができることを分かりやすく解説します。
目次
1. そもそも歯根吸収とは?

治療前 
治療後
歯根吸収とは、矯正治療中に歯の根の一部がごくわずかに短くなる現象です。
歯は骨の中に埋まっていますが、矯正で動かす際には「骨のリモデリング」が起こり、その過程で歯の根の表面にも軽度の変化が生じます。
これは一定範囲内であれば“生理的な反応”であり、多くの患者さんにみられるものです。
■ どれくらいの人に起こる?
研究では「矯正患者の70〜90%で軽度の歯根吸収が起きる」とされています。ただしこれは非常に軽微で、治療後の寿命に影響しない範囲です。
■ 問題となる中等度〜重度は?
一般的な矯正患者のうち、治療に影響を及ぼすような中等度〜重度の歯根吸収は1〜5%程度とされています。
つまり100人に1〜5人というレベルです。
2. 歯根吸収が起こる原因
歯根吸収のリスクは、1つの要因だけで決まるものではありません。複数の因子が重なって起こります。
◆ ① 遺伝的体質(最も強く影響)
じつは、歯根吸収には“体質”の影響がとても大きいことが分かっています。
兄弟や親子で吸収の出方が似るケースがあり、これは根の形や歯根膜の反応性が遺伝的に決まっているためと考えられています。
◆ ② 歯根の形(ピン形、細長い根)
根が極端に細い・先細りしている歯は吸収が起こりやすい傾向があります。
◆ ③ 大きな移動量
突出した前歯を大きく引っ込めるケースなど、移動距離が大きいほど負担が増えます。
◆ ④ 強すぎる矯正力
現在の矯正では「弱く・持続的な力」が基本ですが、自己流マウスピースや不適切な治療では過剰な力が問題になることがあります。
◆ ⑤ 治療期間の長期化
矯正が何年も伸びると、根への負担も累積していきます。
3. 歯根吸収が進むとどうなる?
軽度の歯根吸収はほとんど問題になりません。
根が1〜2mm短くなる程度であれば、歯の寿命に影響はなく、普通に噛んで生活できます。
しかし中等度〜重度になると、次のリスクが出ます。
- 歯の動揺が出やすくなる
- 強い噛みしめで負担がかかる
- 将来的に歯周病の影響を受けやすくなる
とはいえ重度のケースは非常に少なく、通常は途中のレントゲン検査で早期発見 → 治療の調整を行うため深刻な事態になることはほとんどありません。
4. 矯正中に歯根吸収が起きていないかどうか、どうやって確認する?
◆ ① 治療前の精密検査(CT/パノラマ)

根の形・長さ・骨の状態を事前に把握します。
これが“予測とリスク評価の基礎”になります。
◆ ② 治療途中でのレントゲン撮影
一般的に6〜12ヶ月に1回程度、医師が必要と判断したタイミングでチェックします。
◆ ③ もし進行が見られた場合の対応
- 歯の移動速度をゆっくりにする
- 動かす方向を変える
- 一時的に治療を停止する
など、歯を守るための調整が行われます。
5. 歯根吸収を予防するために、患者ができること
医師側の管理が最も重要ですが、患者さん自身ができる対策もあります。
① 指示された装着時間を守る(マウスピース矯正)

装着時間が不安定だと、歯に“ムダな方向の力”がかかり、吸収のリスクが上がります。
② 無理な噛みしめ・食いしばりを減らす
就寝時の食いしばりは根への負担が増えるため、
・ストレス管理
・マウスピース
なども場合によっては必要です。
③ 歯と歯ぐきを健康に保つ

歯周炎があると骨の吸収が早まり、歯根吸収と混在して進行することがあります。
矯正中は普通の人の2倍の磨きにくさになるため、
- デンタルフロス
- 歯間ブラシ
- フッ素
の併用は必須です。
④ 過度な力がかかる癖を改善
舌癖・口呼吸・頬杖なども歯に荷重を与えます。
これらは歯根吸収だけでなく後戻りの原因にもなるため、早めに改善した方が良い習慣です。
6. 歯根吸収は “正しく管理されれば恐れる必要のない現象”
矯正治療における歯根吸収は「ある程度は起こるもの」と理解しておくことが大切です。
ただし、現代の矯正は強すぎる力をかけないため、医学管理下では深刻なケースはほとんどありません。
治療前の検査・治療中のレントゲンチェックによって早期発見も可能であり、必要な調整を行うことで歯を守ることができます。
大切なのは、
“不安を抱えたまま治療を受けるのではなく、正しい知識を持つこと”。
心配な人は、遠慮なく担当医に相談し、根の長さやリスクを確認してみてください。
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参考文献
・Davidovitch Z. Biological mechanisms of tooth movement.
・Levander E, Malmgren O. Evaluation of root resorption during orthodontic treatment.
・American Association of Orthodontists(歯根吸収ガイドライン)
・国内矯正歯科学会 調査報告











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