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【交叉咬合はマウスピース矯正で治せる?】治療できるケースと難しいケースを歯科医が解説
「奥歯の噛み合わせがずれている」「下の歯が上の歯の外に出ている」
もしかすると、それは交叉咬合かもしれません。
そして最近では、
「ワイヤーじゃなくてマウスピースで治せるの?」
「インビザラインで交叉咬合も治るって聞いたけど本当?」
といった質問を多くいただきます。
この記事では、交叉咬合の特徴・原因から、
マウスピース矯正で治せるケース/難しいケース、治療の流れと注意点を歯科医の視点で詳しく解説します。
目次
交叉咬合(クロスバイト)とは?

交叉咬合とは、上下の歯の噛み合わせが左右どちらか、または部分的に内外にずれて交差している状態を指します。
👄 主な特徴
- 下の歯が上の歯より外側に出て噛んでいる(反対咬合の一部)
- 片側だけ噛み合わせがズレている(片側性交叉咬合)
- 奥歯だけズレている(臼歯部交叉咬合)
見た目は軽度でも、放置すると顎の歪み・顔の非対称・顎関節症などにつながることがあります。
交叉咬合の原因
交叉咬合は「骨格」と「歯の位置」の両方が関係しています。
| 原因 | 内容 |
|---|---|
| 骨格的なズレ | 上顎が狭い/下顎が横にズレている |
| 歯の傾き | 歯だけが内側・外側に傾いている |
| 顎の成長バランス | 小児期の顎発達が不均衡 |
| 口呼吸・頬杖の癖 | 顎を片側に圧迫して成長を妨げる |
| 永久歯の生え方の偏り | 片側だけ歯列が内に入る |
このうち、歯の傾きによる軽度のズレであれば、マウスピース矯正で十分に改善可能です。
一方、骨格的なズレが大きい場合は、ワイヤー矯正や外科的矯正を併用することがあります。
💡 マウスピース矯正で治せる交叉咬合とは?
マウスピース矯正は、透明なマウスピースを装着して少しずつ歯を動かす方法です。
以前は「軽度の歯並び用」とされていましたが、現在は技術の進歩により中等度の交叉咬合も治療可能になっています。

治療前 
治療中 
治療後
✅ マウスピース矯正で対応できるケース
| ケース | 内容 |
|---|---|
| 歯の傾きが原因の交叉咬合 | 歯列の幅や傾きを補正して改善 |
| 片側性交叉咬合(軽度) | 片側の歯列を外側へ拡大し、正しい位置に誘導 |
| 軽度の前歯部交叉咬合 | 前歯の角度を変えて前後関係を整える |
これらのケースでは、アタッチメントや顎間ゴムの併用により、より安定した力で動かすことが可能です。
⚠️ マウスピース矯正が難しい交叉咬合
マウスピース矯正が万能というわけではありません。
以下のようなケースは、単独では対応が難しい場合があります。
| 難しいケース | 理由・対処法 |
|---|---|
| 骨格的なズレ(上顎の狭小・下顎の偏位) | 骨格自体がずれているため、歯だけでは補正できない。ワイヤー矯正や拡大装置を併用 |
| 顎の非対称・顔の歪みを伴う場合 | 成長期なら骨格矯正、大人なら外科矯正が必要なことも |
| 噛み合わせが深い/開咬を伴う場合 | 上下の高さ関係もずれており、マウスピースのみではコントロール困難 |
| マウスピース装着時間が守れない | 1日22時間装着が必須。装着不足は効果が出にくい |
つまり、「歯の位置の問題」ならマウスピースで治せるが、「骨格のズレ」は別アプローチが必要、というのが基本です。
実際の治療の流れ(マウスピース矯正の場合)

- 精密検査・3Dスキャン
→ 交叉の範囲・原因を分析し、シミュレーションを作成。 - 治療計画の確認
→ 治る範囲・期間・顎間ゴムの併用の有無を確認。 - マウスピース装着開始
→ 1〜2週間ごとに新しいマウスピースへ交換。 - 定期チェック(1〜2か月ごと)
→ 歯の動きや顎のズレを確認。 - 保定期間
→ 歯が戻らないようリテーナーを装着。
軽度なら6〜12か月で改善することもありますが、中等度の場合は1.5〜2年程度が一般的です。
🧩 ワイヤー矯正との併用で効果を高めるケースも
マウスピース単独で動かしきれない場合、
一部の医院では「ハイブリッド矯正(前半ワイヤー+後半マウスピース)」を行うこともあります。
- ワイヤーで奥歯を拡げ、かみ合わせを整える
- 仕上げをマウスピースで行う
この方法により、見た目・精度・快適さのバランスを取ることができます。
交叉咬合を放置するとどうなる?
軽度の交叉咬合でも、放置すると次のようなリスクがあります。
- 顎の左右差(顔の歪み)
- 片側の歯ばかりすり減る
- 顎関節に負担がかかる
- 噛み合わせがさらに悪化する
見た目以上に噛む・話す・呼吸するといった機能に影響するため、早めの治療が大切です。
まとめ|交叉咬合はマウスピースで治せるが「診断」がカギ!
✅ 軽度〜中等度の歯の傾きによる交叉咬合 → マウスピース矯正で十分改善可能
✅ 骨格性のズレを伴う場合 → ワイヤーや拡大装置の併用が必要
✅ 1日22時間装着+定期チェックが成功のポイント
「自分はどちらのタイプなのか?」を見極めるためには、
3Dスキャン+咬合診断を行う矯正専門歯科での相談がおすすめです。
📚 参考文献
- Proffit WR, Fields HW, Sarver DM. Contemporary Orthodontics, 6th Ed. Elsevier, 2018.
- 日本矯正歯科学会「交叉咬合の分類と治療法」(2024)
- Invisalign Clinical Studies Report, Align Technology, 2023.
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「不正咬合と健康への影響」(2024)











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