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【マウスピース矯正】受け口はマウスピース矯正で治せる?

医院ブログ 2025/10/17
名古屋西矯正歯科クリニック 平澤建太朗

はじめに:受け口(反対咬合)とは何か

「受け口」とは、通常、上の前歯が下の前歯より前に来るべきところ、逆に下の歯が前に出てしまっている噛み合わせの状態を指します。

専門用語では「下顎前突」と呼ばれます。

受け口には、歯列的原因(歯だけのズレ)骨格的原因(下顎が前に出ていたり、上顎が後ろに位置している)など、あるいはその両方が関与するケースがあります。骨格性の受け口では、成長発達や骨格構造そのものが関わっており、歯だけを動かす矯正では改善できないことも多いのが特徴です。

伝統的には、受け口を治すにはワイヤー矯正や補助装置、あるいは重症例では外科矯正が検討されてきました。しかし近年、透明なマウスピース型矯正装置を使って受け口を治す試み・報告も徐々に増えてきています💡

本記事では、「受け口をマウスピース矯正で治せるか?」をテーマに

適応の可否、実際の治療法、成功例・限界、治療期間・費用目安、注意点、そして将来展望を整理して解説します。


1. マウスピース矯正とは

マウスピース矯正とは、透明なプラスチック製のマウスピースを計画に従って段階的に交換しながら、歯を少しずつ動かして整列させる手法です。従来のワイヤー+ブラケット式と比べて目立ちにくく、取り外し可能という利点があります

アライナー治療の基本的制約として:

  • 歯を「傾けたり回転させたり」する制御は比較的コントロールしやすいが、抜歯スペースを閉じる動きや強力な移動には制限がある
  • 支点(アンカー)となる歯を安定させることが重要
  • 患者の装着時間・自己管理能力が成否に直結する

こうした性質ゆえ、マウスピース矯正は「軽度~中等度の不正咬合」に向いているとされるのが一般的です。

2,適応となるケース vs 適応外になるケース──マウスピース矯正が向く/向かないパターン

1 マウスピース矯正が比較的向くケース

マウスピース矯正が有効になりうる条件・状況としては、以下のようなものが挙げられます:

  • 歯列性のズレが主因:骨格のずれよりも、歯の傾斜変化で調整できる範囲が大きい
  • 軽度〜中等度の受け口:大顎・下顎のズレが小さいまたは補正可能な範囲
  • 良好な咬合補助手段が使える:たとえば Class III 弾性、ミニスクリュー、補助ワイヤー等
  • 患者の協力度が高い:1日20~22時間以上の装着が守られる
  • 年齢・成長段階:成長期(小児・思春期)であれば、骨格の矯正可能性を併用できる場合もある
  • 歯の形・骨条件・歯根・歯周条件が良好:移動によるリスクが少ない状態

こういった条件が揃えば、マウスピース矯正でも受け口改善の可能性は高まります。

2 マウスピースでは困難・不適応となるケース

以下のようなケースでは、マウスピース矯正単独では十分な改善が見込めない可能性が高くなります:

  • 骨格性要因が強い受け口:下顎骨そのものが出すぎている、顔面非対称を伴う
  • 大きな前後ズレがある
  • 大きな上下顎の位置ズレ
  • 抜歯が必要なスペース確保が不可欠なケース
  • 咬合力・筋機能のアンバランスが強い場合
  • 歯根・歯槽骨が薄い、歯周組織が不安定なケース
  • 装着時間や管理が守れない可能性がある患者

これらのケースでは、アライナー矯正と併用してワイヤー矯正、アンカースクリュー、あるいは外科矯正を組み合わせることが現実的アプローチとなります。

実際、国内の歯科医院の紹介サイトにも「マウスピース矯正はごく軽度の受け口であれば改善できるが、骨格性要因を伴う例や下顎突出が強い場合は適応外となる」という説明が見られます biyou-dental.com+1


3. 治療手順・方法(マウスピース矯正で受け口を改善する際に使われる技法)

受け口をマウスピースで改善する際には、以下のような補助技法・工夫が併用されることが多いです。

1 Class III ゴムの併用

アライナーにゴムをかけることで上下顎間に牽引力をかけ、下顎を後方に引く力、または上顎を前方に補正する力を付与する方法です。矯正力を補強する用途で使われます。

2 大臼歯遠心移動(Distalization)

下顎の奥歯を後方へ動かすことで、前歯部の逆被蓋(前歯が逆に噛んでいる状態)を改善する空間を作る方法です。文献レビューで、アライナーにより 2〜3 mm 程度の遠心移動が可能との報告もあります 。

ただしこの遠心移動は傾斜移動に偏ることが多く、大きく移動させるには限界があります。

3 ミニスクリュー(アンカースクリュー、TADs)との併用

ミニスクリューを固定源にして、アライナー矯正の弱点であるアンカーコントロールを補うことがあります。これにより、遠心移動や前歯の後方移動などをより精度よく行えるようにする戦略です。骨格性受け口の「矯正的キャモフラージュ」治療で使われることがあります。

4 多段階アプローチ・成長期介入

成長が残っている児童期・思春期であれば、拡大装置、機能矯正装置(例:顔面マスク、フェイスゴムなど)と併用して骨格性変化を誘導しつつ、アライナーで仕上げを行う方法も考えられます。小児例報告では、このような多段階的な戦略が実施されたものもあります。


5. メリット・デメリット・リスク・注意点

1 メリット

  • 審美性が高い:装置が目立ちにくい
  • 取り外し可能:食事や歯磨きが比較的行いやすい
  • 口腔衛生管理がしやすい
  • 通常のワイヤー矯正と比べて痛み・違和感がやや少ない可能性
  • 補助技法を併用すれば、受け口改善の選択肢の幅が広がる

2 デメリット・限界・リスク

  • 大きな骨格的ズレを根本的に補正する力には限界がある
  • 装着時間(20~22時間/日)を守れないと治療効果が落ちる
  • アライナーでは強い力をかけづらいため、意図した歯の移動が未達になる可能性
  • 抜歯スペースの閉鎖や大変な移動を必要とするケースでは不利
  • 歯根吸収や歯槽骨変化、歯周組織への影響のリスクを考慮
  • 治療計画・補助装置設計が難しく、経験豊富な矯正医でないと失敗リスクが上がる

3 注意点(治療前後・患者側観点)

  • 矯正前に正確な顔面・顎顔面診断が不可欠
  • 患者にはアライナー使用の義務(装着時間・管理指導)をしっかり説明
  • 補助器具(ゴム、スクリュー、マイクロ穿孔など)の併用が想定される
  • 治療中の定期チェック・調整が重要
  • 経過観察・後戻り防止策(リテーナー管理など)を十分に設計
  • 骨格性要因が強いと判断された場合、外科矯正との併用計画を前向きに検討


まとめ:マウスピース矯正で受け口は「治せる可能性あり、だが条件が鍵」

まとめると、受け口(反対咬合)をマウスピース矯正で治せるかどうかは、症例の難易度・骨格性要因の強さ・補助手段の採用・患者協力度など複数の要因に左右されます。

  • 軽度〜中等度、主に歯列的要因が主体の受け口であれば、アライナー矯正でも十分改善可能性あり
  • 重度の骨格性受け口や大きなズレを伴うケースでは、マウスピース単独では限界があり、ワイヤー矯正・アンカースクリュー併用・外科矯正との併用を検討する必要
  • 最新の研究事例やシミュレーション技術は、アライナー治療の適応拡大を示唆しているが、現時点では万能ではない
  • 治療の選択肢やリスクを理解したうえで、経験豊富な矯正歯科医とよく相談し、自分のケースに最適なプランを立てることが重要


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参考文献

  1. Padmanabhan A, et al. Efficacy of Clear Aligners in Treating Class III Malocclusion With Mandibular Molar Distalization: A Systematic Review. PubMed/PMC PubMed+1
  2. Gazzani F, Pavoni C, De Razza F, et al. Clear aligner treatment in adult patients with class III malocclusion: lower distalization and class III elastics vs class III elastics alone – a RCT. European Journal of Orthodontics OUP Academic+1
  3. Robertson L, Lee D, Eimar H, El‑Bialy T. Treatment of a challenging Class III malocclusion case using Invisalign clear aligners and micro-osteoperforation: a case report. Quintessence Publishing クインテッセンス出版
  4. 文献報告:53歳女性例でアライナー治療に成功した症例報告。 Class III correction and enhanced periodontal health with aligner treatment in a 53‑year‑old patient PubMed
  5. 小児例報告:11歳女児へのアライナー治療例。 Orthodontic treatment of class three malocclusion using clear aligners: A case report PubMed
  6. 歯科医院紹介記事:「受け口はマウスピース矯正で改善可能なケースあり」などの解説記事 

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