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アジア人とアフリカ系の人の歯並びの違い
~見た目の違いの裏にある骨格と遺伝の秘密~
私たちが人の顔を見たとき、まず目が行くのは「目」や「口元」などの表情をつくる部分です。その中でも「歯並び」は、笑ったときや話すときによく見えるため、見た目や印象に大きな影響を与えます。実はこの歯並び、人種によって傾向に違いがあることをご存じでしょうか?
前回は欧米との比較をだしましたが、今回は「アジア人」と「アフリカ系の人々」の歯並びについて、違いの原因や特徴、そして文化的な背景について、わかりやすく解説していきます。
目次
1. 骨格の違いが歯並びを決める

まず、歯並びを左右する一番大きな要因は「顎の骨格」です。人間の歯は基本的に上下合わせて28本〜32本(親知らずを含む)ありますが、その歯がきれいに並ぶかどうかは、顎の大きさや形に大きく関係しています。
アジア人の特徴:
アジア人、特に東アジア系(日本人、中国人、韓国人など)の人は、比較的顎が小さくて短めの傾向があります。そのため、歯が生えるスペースが足りなくなりやすく、歯が重なってしまう「叢生(そうせい)」が多く見られます。
また、上顎が前に出やすく、下顎が引っ込んでいる骨格を持つ人が多く、いわゆる「出っ歯(上顎前突)」や「受け口(反対咬合)」の割合も高いです。
さらに、日本や韓国では「八重歯」が目立つ人も多く、かつてはそれを「かわいい」と感じる文化的な背景もありました。
アフリカ系の特徴:
一方、アフリカ系の人々は、顎が大きく、骨格がしっかりしている傾向があります。このため、歯が並ぶスペースも十分にあり、整った歯並びになりやすいのが特徴です。
ただし、骨格が前方に発達していることが多いため、上の歯列全体が少し前に出ているように見えることもあります。これは「骨格性前突」と呼ばれるもので、横顔で見ると口元が前に出て見えるケースもあります。
2. 歯の形と大きさの違い
歯並びに影響するのは、顎だけではありません。歯そのものの大きさや形も関係してきます。
同じ成人でも、このように歯の大きさは違います。
- アジア人の歯は比較的小さく、前歯と奥歯の大きさのバランスが悪い場合があります。このことが、歯がうまく噛み合わない原因にもなります。
- アフリカ系の人は、歯が大きく、歯根(歯の根元部分)もしっかりしていることが多く、歯の健康状態も良好な場合が多いとされています。
また、アフリカ系の人には、前歯の間にすき間が見られることもあります。これは必ずしも悪いものではなく、個性の一つとして認識されることが多く、一部の地域では「幸運の印」としてポジティブに捉えられることもあります。我々日本人は、すきっ歯と捉えることが多いですよね。
3. 文化と審美意識の違い
歯並びに対する価値観も、国や文化によって大きく異なります。
アジアでは、特に日本や韓国で歯並び=清潔感、美しさの象徴という意識が強く、子どもの頃から矯正治療を受ける家庭も多くあります。最近では「マウスピース矯正」など目立たない方法も増えており、歯並びの美しさを求める声は年々高まっています。
一方で、アフリカ系の文化圏では、「自然な歯並び」が好まれる場合もあり、矯正の必要性をあまり感じないこともあります。また、歯そのものが健康でしっかりしているため、そもそも矯正をする必要がない人も多いのです。
ただし、アメリカやヨーロッパなどの多民族社会では、こうした人種ごとの傾向が混ざり合っており、矯正治療の判断も個人の骨格や生活スタイルに基づいて行われています。
4. 医学的にはどちらが良い歯並び?
最後に、「アジア人の歯並びよりアフリカ系の方が良いのか?」といった疑問があるかもしれません。医学的には、歯並びが整っている方が虫歯や歯周病のリスクが低くなるため、健康面でのメリットはあります。
その意味では、顎が大きくスペースに余裕のあるアフリカ系の骨格は、歯科的には「有利」といえるでしょう。ただし、アジア人でも適切な矯正治療を受けることで、美しく機能的な歯並びを得ることは十分可能です。
まとめ
| 項目 | アジア人 | アフリカ系 |
|---|---|---|
| 顎の大きさ | 小さめ | 大きく発達 |
| 歯の並びやすさ | 重なりやすい(叢生) | 並びやすい |
| よくある特徴 | 八重歯、出っ歯 | ダイアステマ、骨格前突 |
| 歯の大きさ | 小さめ | 大きめ・しっかりしている |
| 矯正の文化 | 一般的・重視される | 地域により様々 |
歯並び」という見た目の違いには、遺伝や骨格、文化的価値観といった複雑な要因が関わっています。人それぞれの美しさや個性を大切にしながら、健康な口元を保つ意識が今後ますます重要になっていくでしょう。
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参考文献
- Proffit, W.R., Fields, H.W., Sarver, D.M. (2018).
Contemporary Orthodontics (6th Edition). Mosby.
→ 世界的に使用されている矯正歯科学の教科書で、人種ごとの骨格・歯並びの違いにも言及されています。 - Hillson, S. (1996).
Dental Anthropology. Cambridge University Press.
→ 歯の形やサイズ、民族・人種間の比較などを包括的に扱った文献。 - 冨永健一『歯の文化人類学』(1998年、東京大学出版会)
→ 日本語で読める歯と文化・民族との関係を考察した書籍。文化的な価値観にも言及。 - American Association of Orthodontists (AAO)
https://www.aaoinfo.org
→ アメリカ矯正歯科学会の公式サイト。矯正の必要性や人種間の歯並びの違いに触れた解説あり。 - 日本矯正歯科学会(JOS)公式サイト
https://www.jos.gr.jp
→ 歯列矯正の基本、症例、治療法などを日本人向けに解説。 - Lavelle, C. L. B. (1976).
“Dental crown size in four ethnic groups.” American Journal of Orthodontics, 70(5), 505-513.
→ 歯の大きさに関する民族差を定量的に比較した研究。 - Harris, E. F. & Johnson, M. G. (1991).
“Heritability of craniometric and occlusal variables.” American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics, 99(3), 258–268.
→ 骨格や噛み合わせの遺伝的要因に関する研究。 - 世界保健機関(WHO)– Oral Health
https://www.who.int/health-topics/oral-health
→ 世界の口腔衛生の現状と、地域・人種差に関する基本データ。













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