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子どもの脳の発達における咀嚼(そしゃく)の重要性とは?

医院ブログ 2025/05/12
名古屋西矯正歯科クリニック 平澤建太朗

〜噛む力が未来の集中力・記憶力を育てる〜

子育てをしていると、「栄養バランス」「学習習慣」「睡眠時間」など、子どもの発達を支えるさまざまな要素に気を配るものです。しかし、意外と見落とされがちなものがあります。

それが 「噛む力=咀嚼力」 です。

「ちゃんと食べてるから大丈夫」と思っていても、よく噛まずに飲み込んでしまっている子が非常に多いのが現実です。そしてこの“噛む力”が、実は子どもの脳の発達、特に集中力・記憶力・学習能力と深く関わっていることが、近年の研究で分かってきています。

今回は、なぜ「咀嚼」が子どもの脳に重要なのか、何が影響するのか、そして親として今すぐできる対策について解説します。


噛むことが脳を活性化させる理由

人間が噛むという動作をすると、脳の広い領域にわたって神経活動が活発になることが確認されています。特に重要なのが、以下の二つの領域です。

  • 前頭前野(ぜんとうぜんや):注意力・思考力・判断力を司る
  • 海馬(かいば):記憶の形成や空間認識を担う

つまり、「よく噛む」ことが、子どもたちの学習や記憶に関わる脳の部位を活性化するスイッチになっているのです。

また、咀嚼によって脳の血流が増え、酸素と栄養が行き渡ることで、脳の発達が促されるとも言われています(Takeuchi et al., 2015)。

よく噛まないと起こること

【現代っ子の課題】それは、しっかり噛まずに食事を終えてしまう。ということです。

子どもがしっかり噛まずに食事を終えてしまう背景には、さまざまな要因があります。

  • 柔らかい加工食品の増加(パン、ゼリー、ハンバーグなど)
  • 忙しい日常の中で“早食い”が習慣化
  • 歯並びや顎の発育不良による咀嚼困難
  • 食事中のスマホ・テレビによる集中力の低下

これにより、子どもの「噛む回数」が大きく減少していることが多くの調査で明らかになっています。噛まないことで脳への刺激が減り、集中力の欠如・学習効率の低下・感情コントロールの不安定化などのリスクが生じます。

噛むことと学力の関連を示す研究

いくつかの国内研究では、咀嚼と子どもの学力の相関が示唆されています。

例:ある小学校での調査

・「よく噛む子」は国語・算数のテストの平均点が高い傾向
・「早食い」「ほとんど噛まない」と答えた子は集中が続かない、忘れ物が多い傾向あり
(出典:日本小児歯科学会, 2020)

また、噛むことによって唾液の分泌が増え、消化が良くなり、胃腸への負担が減るため、身体的な不調も起こりにくくなります。体調が良ければ当然、学習にも前向きに取り組みやすくなるのです。


子どもの噛む力を育てるには?

1. 食事の中で「噛む意識」を持たせる

  • 「30回噛んでから飲み込もう」と声かけする
  • 一口サイズを少し大きめにする
  • 音を立てて噛んでOK(咀嚼音はむしろ良い習慣)

2. よく噛む食材を取り入れる

  • 玄米、根菜、きのこ類、昆布、するめ、大豆製品など
  • ハンバーグよりステーキ、パンよりご飯、ゼリーよりりんご

3. 姿勢と口の筋肉を整える

  • 猫背になると顎が動きにくくなるため、正しい食事姿勢を意識
  • 顎や頬の筋肉を鍛える「あいうべ体操」「風船膨らまし」もおすすめ

4. 歯並びや噛み合わせを定期チェック

歯並びが悪いと、噛みにくいため咀嚼が減ってしまいます。

早期の歯科受診や、必要に応じた小児矯正の相談が効果的です。

子どもの矯正治療

受け口や出っ歯など、不正咬合のまま過ごしていると、噛みにくいため咀嚼回数が自然と減ってしまいます。

矯正治療には1期治療と2期治療があり、子どもの歯の治療は1期治療に分類されます。早いと4〜5歳ごろから1期治療を開始されることもあり、最近では子どもが矯正治療をしている!というケースも増えてきました。

○歳から始めなければならない!という決まりはなく、その子の口腔内状況によっても適切な開始時期は変わります。


まとめ

「よく噛む」——たったこれだけのことが、子どもの脳にとっては最大の栄養になるという事実。
咀嚼は、食事だけでなく、学び・集中・情緒の安定にまで関わる、子どもの発達の土台です。

忙しい毎日の中でも、「今日のごはん、しっかり噛めたかな?」と問いかけてみてください。子どもが将来、自分の力で考え、学び、心豊かに成長するための一歩になります。

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参考文献 出典

  1. 日本小児歯科学会(2020). 「子どもの咀嚼と発達に関する調査」 https://www.jspd.or.jp
  2. Takeuchi, H. et al. (2015). Impact of Chewing on Cognitive Functions. Frontiers in Aging Neuroscience, 7: 244.
  3. 厚生労働省. 「歯と口の健康週間」パンフレット https://www.mhlw.go.jp
  4. Miura, H. et al. (2003). Relationship Between Mastication and Cognitive Function in Children. Psychogeriatrics, 3(3): 49–53.
  5. 日本咀嚼学会. 「咀嚼と子どもの学力・運動能力」 https://www.jssu.org

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