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子どもの歯並びに影響のある癖とは?〜親が知っておきたいポイント〜
こんにちは!名古屋西矯正歯科クリニックです
子どもの成長と共に気になる「歯並び」
整った歯並びは見た目の美しさだけでなく、噛み合わせや発音、さらには全身の健康にも影響を与える大切な要素です。実は、日常のちょっとした「癖」が歯並びを大きく左右することをご存じでしょうか??
今回は、子どもの歯並びに影響を与える癖や習慣について、具体的な例とともに解説し、予防や対策もお伝えします。
歯並びに悪影響を与える代表的な癖とは
1・指しゃぶり
もっとも代表的な癖の一つが「指しゃぶり」です。特に3歳を過ぎても続く指しゃぶりは、前歯を押し出す原因となり、「出っ歯(上顎前突)」や「開咬(かいこう)」という噛み合わせの異常につながることがあるので、やめさせたい癖の一つ。
対策: 指しゃぶりが続く原因には、ストレスや安心感を求める心理的なものもあります。無理にやめさせるのではなく、安心できる環境を整え、少しずつ頻度を減らしていくよう働きかけましょう。
2・舌癖

舌を歯に押し付ける癖や、飲み込む時に舌を前に出すような動きも、歯並びに影響します。舌が前歯を常に押していると、開咬や出っ歯になる可能性があります。また、噛み合わせにも影響を及ぼし、うまく噛めないという症状を引き起こす可能性もあります。
対策: 舌の正しい位置は、上あごの前歯のすぐ後ろ(スポット)に軽くつけることです。専門の歯科医による「MFT(口腔筋機能療法)」というトレーニングを受けることで、改善が期待できます。
3・口呼吸
口を開けたまま呼吸する「口呼吸」は、口腔内が乾燥するだけでなく、舌の位置が下がるため、歯並びやあごの成長に悪影響を与えます。常に口が開いていると、出っ歯やあごの発育不足につながることがあります。
対策: 鼻づまりなどの原因がないかチェックし、耳鼻科での診察を受けることが大切です。また、姿勢の改善や唇を閉じる習慣づけも有効です。
4・頬杖・うつ伏せ寝
長時間の頬杖やうつ伏せ寝も、あごに不自然な圧力をかけてしまい、左右のあごのバランスが崩れる原因になります。特に顔が片側に偏った状態が続くと、非対称な歯並びになるリスクが高まります。
対策: 机に向かう姿勢や寝る姿勢をチェックし、正しい姿勢を教えることが大切です。寝具の見直しも、体の歪みを防ぐポイントになります。
5爪を噛む・鉛筆かじり
爪をかむ、鉛筆や消しゴムなどをかじる癖は、前歯に不自然な力がかかり、前歯が傾く原因になります。これもまた、出っ歯や歯並びの乱れにつながる可能性があります。
対策: このような癖は、ストレスや不安、集中力の持続の難しさが背景にあることが多いです。子どもとしっかりコミュニケーションを取り、代わりになるストレス発散方法を一緒に探すことが大切です。
なぜ癖が歯並びに影響するのか?
歯は、舌や頬、唇などの筋肉のバランスによって位置が保たれています。ところが、無意識のうちに行われる癖や習慣が、これらのバランスを崩す原因になります。
特に成長期の子どもは、あごの骨や歯の位置が柔軟に変化する時期。悪い癖が続くと、そのまま歯並びに悪影響を与えてしまう可能性が高いのです。
歯並びを守るために家庭でできること
- 正しい姿勢を習慣に
食事中・勉強中の姿勢をチェック。椅子と机の高さが合っているかも見直しましょう。
- 口を閉じる練習を
楽しみながら「唇を閉じるゲーム」などを取り入れて、口を閉じる習慣をつけましょう。
- ストレスケアも忘れずに
癖の多くは、精神的な不安やストレスが関係しています。子どもの話に耳を傾け、心のケアも大切に。
まとめ
子どもの歯並びは、日常のちょっとした癖によって大きく左右されることがあります。指しゃぶりや口呼吸、舌癖などは、放っておくと将来的な噛み合わせや見た目に大きな影響を及ぼすかもしれません。
だからこそ、親としてできることは、「癖に気づいてあげること」、そして「無理にやめさせるのではなく、少しずつ改善するよう導くこと」です。気になる点があれば、専門家に早めに相談することで、将来の大きな矯正治療を防ぐことにもつながります。
子どもの笑顔と健康のために、今できることから始めてみましょう!
当院でもたくさんのお子様が矯正治療に取り組んでいただいています!矯正治療について気になることがあれば、お気軽にご連絡ください!

参考文献 出典
- 日本小児歯科学会
「子どもの歯と口の健康」
https://www.jspd.or.jp/ - 日本矯正歯科学会
「不正咬合とその原因」
https://www.jos.gr.jp/ - 厚生労働省 e-ヘルスネット
「不正咬合の原因と予防」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/ - 山田健一, 佐藤由紀子 他(2019)
「小児期の口腔習癖と歯列・咬合への影響」『日本小児歯科学会雑誌』
Vol.57 No.3, pp.124-132 - 井上 裕之(2017)
『子どもの歯並びがよくなる本』青春出版社 - American Association of Orthodontists(AAO)
”Thumb Sucking and Pacifier Use”
https://www.aaoinfo.org/ - Miyawaki S., et al.(2000)
”Occlusal Features in Children with Mouth Breathing Habits”
The Angle Orthodontist, Vol. 70, No. 5, pp. 406-410