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インプラント治療は矯正治療後に行う方が良いのか?
歯を失った場合の治療法として、インプラントは現代歯科医療の中でも非常に有効で、自然な噛み心地と審美性が得られる選択肢として注目されています。一方で、歯列矯正は、噛み合わせや見た目を整えるために重要な治療です。
この2つの治療を両方受ける場合、どちらを先に行うべきかという疑問がよく出てきます。
結論から言うと、多くの場合は矯正治療を先に行い、その後にインプラント治療を行うのが望ましいとされています。
今回は、その理由と治療の流れ、注意点などを詳しく解説します。
目次
なぜインプラントの前に矯正治療を行うのか?

インプラントは「動かせない」人工歯
インプラントはあごの骨に直接固定されるため、一度埋入すると動かすことができません。つまり、矯正治療で歯列や噛み合わせを動かす前にインプラントを入れてしまうと、その位置が固定されてしまい、理想的な歯列や噛み合わせの獲得が困難になることがあります。
メリットは?
歯並びや噛み合わせが良くない状態のままインプラント治療を行うと、さまざまな問題が発生する可能性があります。
- インプラント治療の成功率向上
悪い噛み合わせだと、一箇所に噛む力が集中し、インプラント破損などのリスクが高まります。インプラントだけではなく、周辺の骨や歯ぐきにも影響を及ぼす可能性も。
- 歯みがきがしやすくなる
歯並びがガタガタの場合は、うまく歯みがきを行うことが難しく口腔内に汚れが溜まってしまうとも。インプラント周辺は清潔に保たないと、インプラント周囲炎などのトラブルを起こしかねません。
矯正治療で先に歯並びを整えておくとで、歯みがきがしやすくなりインプラント周辺を清潔に保つことができます。
- 審美性の向上
先に歯並びを整えることで、審美性がよくなり、より自然に口元が綺麗になります。
具体的な治療の流れ(一般的なケース)

- 精密検査・診断(CT、口腔内写真、模型など)
- 矯正治療による歯列・咬合の調整
- 矯正終了後、必要に応じて保定装置を使用
- インプラント埋入手術
- 治癒期間(2〜6ヶ月)
- 上部構造(被せ物)の装着
- メンテナンスと経過観察
矯正治療中でもインプラントが先行することはある?
例外的に、以下のようなケースではインプラントを先に行う場合もあります。
- 矯正治療のアンカー(支点)としてインプラントを活用する場合
- インプラントで噛み合わせを一時的に安定させてから矯正を進める場合
- インプラントの必要な部位が矯正の影響を受けない場合
ただし、こういった判断は歯科医師の総合的な診断と計画立案が不可欠です。
患者さんが注意すべきポイント
- 治療全体の期間が長くなる可能性がある:矯正+インプラントで1〜3年以上かかることも。
- 費用がかさむことがある:矯正とインプラントは自費診療が基本。
- 信頼できる総合的な治療計画を立てる歯科医師を選ぶことが重要
まとめ
インプラント治療は非常に高機能な治療ですが、周囲の歯との調和が重要です。矯正治療を先に行うことで、インプラントの埋入位置が最適化され、長期的に安定した機能と審美性を確保できます。歯を失ってしまった場合でも、あきらめずに矯正+インプラントという選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。
参考文献
- Misch CE. Dental Implant Prosthetics. 2nd ed. Mosby; 2014.
- Kokich VG, Kinzer GA. Managing congenitally missing lateral incisors. Part II: tooth-supported restorations. J Esthet Restor Dent. 2005;17(2):76–84.
- Becker W, et al. Implant placement following orthodontic therapy. Clin Orthod Res. 1998;1(2):62–66.
- 中村健太郎 他. 「矯正治療とインプラント治療の連携」. 日本口腔インプラント学会誌, 2012;25(1):45-53.











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