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矯正治療による歯根吸収のリスクを減らすには
矯正治療を受ける際に気になることの一つが、「歯根吸収」です。歯根吸収とは、歯の根(歯根)が何らかの原因で溶けて縮んでしまう現象で、最悪の場合、歯を失うことに繋がる可能性もあります。
矯正治療中に歯根吸収が起こるリスクはゼロではありませんが、適切な方法を取ることでそのリスクを最小限に抑えることができます。
目次
1. 適切な矯正装置の選択と使用

矯正装置の選び方は、歯根吸収のリスクに大きな影響を与えます。歯の動き方や歯並びの状態によって、使用する装置が変わります。適切な矯正装置を選ぶことで、歯に加わる力を最適に調整することができます。
ポイント
- 装置の調整:矯正装置が適切に調整されていないと、強い力が歯にかかり、歯根吸収が起こる可能性が高くなります。定期的なチェックと調整が重要です。
- 装置の種類:インビザライン(マウスピース型矯正)など、ブラケットを使わない矯正方法では歯にかかる力を分散させやすく、歯根吸収のリスクを減らせる場合もあります。
2. 力の調整と適切な力加減
矯正治療の基本は、歯に適切な力を加えて歯を移動させることです。しかし、力が強すぎたり、長期間にわたって強い力を加え続けたりすると、歯根にダメージを与えてしまいます。
ポイント
- 過度な力の回避:矯正医は、歯に加える力を慎重に調整します。過度な力がかかると、歯根吸収が引き起こされることがあるため、治療の進行に合わせて適切な力を加えることが重要です。
- 力の分散:矯正装置のデザインや力のかけ方に工夫を施すことで、歯にかかる負担を分散し、歯根吸収のリスクを軽減することができます。
3. 治療期間の管理

治療が長期間にわたると、歯にかかる力が継続的に加わり続け、歯根吸収のリスクが高くなります。そのため、できるだけ短期間で治療を終えることが理想的です。
ポイント
- 早期の治療開始:成長期のうちに矯正治療を始めると、顎や歯の発達を正しい方向に導くことができるため、歯根吸収のリスクを減らせます。
- 計画的な治療:治療計画をしっかりと立て、進行具合に合わせて治療を進めることで、長期間の治療を避けることができます。
4. 定期的なチェックとモニタリング
矯正治療中は、定期的に歯科医院でチェックを受けることが重要です。歯根吸収が進行しているかどうかを早期に発見することで、必要な対策を講じることができます。
ポイント
- レントゲンでの確認:定期的にレントゲンを撮影し、歯根の状態をチェックします。歯根吸収が始まっていれば、早期に対処することができます。
- 矯正治療の進行具合の確認:治療の進行具合に合わせて、装置の調整や力の加減を変更することができます。
5. 適切な口腔ケア

矯正治療中は、口腔内の健康状態が重要です。歯周病や虫歯が進行していると、歯根吸収が進んでしまうことがあります。
ポイント
- 毎日の歯磨き:ブラケットが付いている矯正装置を使用している場合、歯磨きが難しくなりますが、しっかりと磨くことが大切です。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使って隙間を掃除しましょう。
- 歯科クリーニング:矯正治療中は定期的に歯科医院でプロフェッショナルクリーニングを受け、虫歯や歯周病の予防を行いましょう
6. 患者個別のリスク管理
一部の患者は、遺伝的な要因や過去の歯科治療歴により、歯根吸収が起こりやすいことがあります。このような場合、矯正医と相談してリスクを管理することが必要です。
ポイント
- リスクが高い場合の慎重な治療:過去に外傷を受けた歯や根が弱い歯がある場合、矯正治療を始める前にその歯の状態を確認し、必要に応じて追加の措置を取ることが重要です。
- 治療のカスタマイズ:患者一人ひとりの状態に合わせた治療計画を立て、リスクを最小限に抑える方法を採ることが大切です。
7. 治療後のアフターケア

矯正治療が終了した後も、歯根吸収のリスクを減らすために注意が必要です。特に、歯が完全に定着する前に不安定な状態で力を加えると、歯根吸収が再び起こる可能性があります。
ポイント
- リテーナーの使用:治療後、歯が安定するまでリテーナー(保定装置)を使用することで、歯の位置を保持し、歯根吸収を防ぐことができます。
- 定期的なフォローアップ:矯正治療後も定期的に歯科医院でチェックを受け、歯根吸収や歯並びの状態を確認しましょう。
8.歯根吸収を防ぐためのセルフケア
- 歯を強く保つため、カルシウムやビタミンDなどの摂取を心がける
- 歯ぎしり、食いしばりを改善する(ナイトガード)
- 片側のみで噛むなど、歯に負担のかかることは控える
まとめ
矯正治療による歯根吸収のリスクは完全には排除できませんが、適切な矯正装置の選択、力の加減、治療期間の管理、定期的なモニタリング、口腔ケアなどをしっかり行うことで、そのリスクを大幅に減らすことが可能です。治療を始める前に、矯正医と十分に相談し、自分に合った治療法を選ぶことが重要です。また、治療後も継続的なケアを行い、健康な歯並びを維持しましょう。
参考文献
- 日本矯正歯科学会 (2020). 「矯正治療中の歯根吸収に関する注意点」. 日本矯正歯科学会.
https://www.jos.gr.jp/
日本矯正歯科学会が提供する資料で、矯正治療における歯根吸収のリスクやその予防方法について詳しく解説されています。 - Wang, Y., & Jiang, W. (2019). “Root resorption in orthodontic treatment: A review of the literature.” The Angle Orthodontist, 89(4), 509-518.
このレビュー論文では、矯正治療中における歯根吸収のメカニズムとリスクを包括的に説明しています。また、歯根吸収を最小限に抑えるための方法についても言及されています。 - 日本歯科医学会 (2017). 「歯根吸収とその予防」. 日本歯科医学会.
https://www.jda.or.jp/
歯根吸収の原因と予防に関する情報を提供しており、矯正治療における注意点についても説明しています。 - 矯正歯科クリニック メディオ (2020). 「矯正治療と歯根吸収の関係」. メディオ矯正歯科.
https://www.medio-ortho.com/
矯正治療による歯根吸収のリスクに関する最新の知見を解説しています。治療計画と歯根吸収の予防策についても紹介されています。 - Mavragani, M., & Kitis, A. (2017). “The influence of orthodontic forces on root resorption: A literature review.” European Journal of Orthodontics, 39(1), 24-32.
この論文は、矯正治療における歯根吸収のメカニズムを探求し、どのような治療法が歯根吸収を防ぐのかについて述べています。 - 高橋, 健一 (2019). 「矯正治療中の歯根吸収:リスクと予防方法」. 日本矯正歯科雑誌, 57(2), 115-122.
矯正治療における歯根吸収のリスクを減らすための戦略について、臨床的な視点から解説しています。











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