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鼻呼吸に変わるだけで歯列はどこまで改善できる?最新研究からわかる“本当の効果”
「鼻呼吸のほうが歯並びに良いって聞いたけど、本当に変わるの?」
「口呼吸を治しただけで歯並びが整うなんてことがあるの?」
矯正相談に来られる患者さんから、このような質問をいただくことが増えています。
実は、鼻呼吸と歯並び(歯列・顎の骨格)には密接な関係があることが、最近の研究でも分かってきています。
とくに、舌の位置・口周りの筋肉の使い方・顔の成長に関係するため、子どもの時期には大きな影響を与えます。
ただし、
“鼻呼吸に変えただけで歯並びが全部治る”
という話は誤解です。
この記事では、
- 鼻呼吸で本当に期待できる改善
- 研究からわかる「限界」
- 何歳まで効果があるのか
- 今日からできる切り替え方法
までをわかりやすく解説します。
目次
■ 1. なぜ「鼻呼吸」は歯並びに影響するの?

私たちの上あごは、天井のような骨ではなく、舌が軽く触れて支えてくれることで形が整う構造になっています。
鼻で呼吸しているとき、舌は自然と上あごに収まり、上あごが横に健康的に広がりやすくなります。
逆に口呼吸になると、舌は口の中で“下のほう”に落ちやすく、上あごが支えられないため、横幅が狭くなりやすいという特徴があります。
上あごが狭いとどうなるかというと…
- 歯が並ぶスペースが足りない(叢生)
- ガタガタになりやすい
- 奥歯が内側に倒れやすい
- 顔が細く、縦に長く見えやすい
- 噛み合わせが不安定になりやすい
これらが、口呼吸の子どもに多い特徴として報告されています。
■ 2. 最新研究でも「鼻呼吸の重要性」が注目されている理由
近年の研究では、
鼻呼吸の子どもと口呼吸の子どもでは、上あご・顔・歯列の発育に明確な差がある
という報告が増えています。
主に指摘されているのは以下の点です。
✔ 上あごの幅が狭くなりやすい
口呼吸では舌が下に落ち、頬の圧が相対的に強くなるため。
✔ 歯列がV字型に細くなりやすい
舌が支えてくれないため、歯列が内側に倒れやすい。
✔ 前歯にすき間やガタガタができやすい
歯が並ぶスペースが不足するため。
✔ 顔が縦長に成長しやすい
下顎の位置が下方向へ回転しやすくなるため。
✔ 開咬(前歯が噛まない状態)が起こりやすい
口が開いた姿勢がクセになり、前歯が接触しにくくなる。
つまり、呼吸方法ひとつで“骨格レベル”の発育に差が出るということです。
■ 3. 鼻呼吸に変えると、歯列はどこまで良くなる?
患者さんが気になるのはここです。
結論を先に伝えると…
▶ 子どもの場合:歯列・顎の成長にかなり大きな効果がある
▶ 成人の場合:歯並びを“治す”ほどの変化は少ないが、安定性が大きく上がる
詳しく解説します。
■ 4. 【子ども】鼻呼吸に変えることで期待できる改善
成長期の子どもは、鼻呼吸に切り替えるだけで以下のような変化が期待できます。
◆ ① 上あごの横幅が自然に広がりやすくなる
舌が上あごを支えることで、歯が並ぶスペースが広がりやすくなります。
軽度の叢生なら改善するケースもあります。
◆ ② 歯列のアーチがきれいなU字に近づく
頬の圧よりも舌の圧が強くなるため。
◆ ③ 前歯が噛みやすくなる
口呼吸で起きやすい「開咬」の改善に役立つ可能性があります。
◆ ④ 顔のバランスが整いやすい
鼻呼吸 → 舌が上に → 下顎が後ろ下に回転しにくくなるため
“縦長の顔”になりにくいことが報告されています。
◆ ⑤ 矯正治療の効果が出やすく、後戻りしにくい
鼻呼吸は、歯列の“自然な安定力”を高めます。
■ 5. 【成人】鼻呼吸の効果は「歯並びよりも安定性」
成人は骨の成長が終わっているため、鼻呼吸だけで劇的に歯並びが変わることはありません。
しかし、以下の点でとても重要です。
◆ ① “後戻り防止”として非常に効果が高い
口呼吸は、矯正後に歯が動きやすい原因のひとつ。
鼻呼吸に変えると、歯列の安定力が大幅にアップします。
◆ ② 舌癖の改善とセットで前歯の圧が安定する
鼻呼吸になると舌が上に上がりやすく、
前歯を押す癖(舌突出)が起きにくくなります
◆ ③ 顔のたるみ・二重アゴ改善など美容的メリットもある
口呼吸は口周りの筋肉を使わないため、フェイスラインが緩みやすくなります。
成人でも、“健康な顔・歯列を維持する”という意味で鼻呼吸の価値は高いと言えます。
■ 6. 鼻呼吸に切り替えるだけでは「限界」もある
ここは患者さんが理解しておくべき重要ポイント。
鼻呼吸にしただけで…
✖ ガタガタがすべて治る
✖ 受け口や出っ歯が大きく治る
✖ 開咬が完全に閉じる
こうした“骨格レベル”の問題が自然に治ることはありません。
また、鼻が詰まっている原因が
- アレルギー性鼻炎
- アデノイド肥大
- 扁桃の問題
- 鼻中隔のゆがみ
などの場合は、鼻呼吸自体が難しく、耳鼻科治療が必要です
■ まとめ:鼻呼吸は「歯列が安定する土台」
鼻呼吸は、
歯列を自然な形で維持・成長させるための“土台”となる習慣です。
- 子どもでは歯列や顎の成長が改善しやすい
- 成人では歯列の安定性・後戻り防止に効果的
- ただし鼻呼吸だけで全てが治るわけではない
- 舌の位置・姿勢・生活習慣とセットで改善すると最大の効果が出る
“呼吸を変えるだけで歯列も顔も変わる可能性がある”というのは、決して大げさではありません。
できる範囲から、ぜひ今日から実践してみてください。
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参考文献
・Orthodontics: Current Principles and Techniques
・Proffit WR, Contemporary Orthodontics(呼吸様式と骨格発育の関連)
・日本耳鼻咽喉科学会:小児の口呼吸と成長発育に関する指針
・歯科矯正学会呼吸関連研究レビュー(2023–2024)











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