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抜歯窩が痛くてマウスピースがはめられない時はどうすればいい?
― 無理せず正しく対処するためのガイド ―
マウスピース矯正中に「抜歯」を行うケースは珍しくありません。
歯を動かすスペースを作るために、小臼歯(4番や5番)を抜くことが多いのですが、問題はその後です。
抜歯後しばらくは「痛くてマウスピースが入らない」「入れても違和感が強い」と感じる方が多くいらっしゃいます。
今回はそんなときの正しい対応方法と注意点を、わかりやすく解説します。
目次
1. なぜ抜歯後にマウスピースが痛いのか?

抜歯をすると、歯を抜いた穴に一時的な「傷口」ができます。
この部分は骨や歯肉が治癒していく過程でとてもデリケートな状態です。
マウスピース矯正の場合、マウスピースの内側が歯ぐきに軽く当たることがあります。
抜歯直後に装着すると、以下のような問題が起こることがあります。
- 抜歯窩に圧がかかって痛む
- 傷口から出血する
- マウスピースがきちんとフィットせず浮く
- 感染(ドライソケット)を起こすリスクが上がる
つまり、「無理に入れる」ことがかえって治りを遅らせる原因にもなりかねません。
2. 抜歯後、マウスピースはいつから再開できる?
抜歯の種類や治り方には個人差がありますが、一般的な目安は以下の通りです。
| 状況 | 装着再開の目安 |
|---|---|
| 通常の抜歯(小臼歯など) | 約3〜5日後 |
| 難抜歯(親知らず・埋伏歯など) | 約7〜10日後 |
| 出血・腫れが続く場合 | 完全に治まるまで待つ |
※痛みや腫れが強い場合は、無理に再開せず歯科医師の指示を待つことが最優先です。
3. 一時的にできる対応
① 前のステップのマウスピースを戻して装着する
抜歯前に使っていた一つ前のマウスピースを持っている場合、それを再び装着しておくのが最も安全です。
歯の位置をキープしつつ、治癒期間を待つことができます。
※少しきつくても問題ありませんが、痛みが強い場合は外して休む時間を作ってOKです。
② 抜歯窩を刺激しない工夫をする
- 食事は柔らかいもの中心にする
- 熱いもの・アルコール・強いうがいを避ける
- 血餅(かさぶた状の血の塊)を守るようにケアする
これにより、傷口の治りが早くなり、マウスピース再開もスムーズになります。
③ 医院へ連絡して相談する

痛みが強く、マウスピースが入らない・浮くなどのトラブルがある場合は、自己判断せず担当医院に必ず連絡しましょう。
医院では以下のような対応を行うことがあります。
- 傷口の確認・消毒
- 一時的に装着を休止する期間の指示
- 必要に応じて「再調整したマウスピース」の作製
特に、抜歯後の腫れや出血が強い場合はマウスピースの縁を削って調整することで、再開できるケースもあります。
4. 抜歯後の治療計画に影響はある?

数日〜1週間程度の装着中断であれば、治療計画に大きな影響はありません。
歯の動きは日単位で急に変わるものではないため、焦らず正しいタイミングで再開することが重要です。
ただし、長期間(2週間以上)装着できない場合は、歯が元の位置に戻り始める可能性があるため、
その場合は「再スキャン」や「マウスピースの再作製」が必要になることもあります。
5. まとめ:焦らず、回復を優先しよう
抜歯後にマウスピースが痛くて入らないのは、決して珍しいことではありません。
むしろ体がしっかり回復しようとしている証拠です。
無理に装着して痛みを悪化させるよりも、
1️⃣ 傷口を守る
2️⃣ 痛みが落ち着くまで休む
3️⃣ 歯科医師に確認してから再開する
この3つを守ることで、治療を安全に進めることができます。
矯正治療は「正確さ」と「継続」が鍵です。
痛みがあるときほど焦らず、担当医と相談しながら、最善のペースで理想の歯並びを目指しましょう。
参考文献
- 日本矯正歯科学会. 「マウスピース型矯正装置(アライナー型矯正装置)について」
https://www.jos.gr.jp/public/public_07.html(閲覧日:2025年11月2日) - Invisalign(インビザライン)公式サイト. 「抜歯を伴うマウスピース矯正について」
https://www.invisalign.co.jp/(閲覧日:2025年11月2日) - 日本口腔外科学会. 「抜歯後の注意点」
https://www.jsoms.or.jp/(閲覧日:2025年11月2日) - Kravitz ND, et al. “Pain and discomfort associated with orthodontic tooth movement.” Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2008;133(1): 1–7.











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